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8月17日(土)
ワークショップ1 14:30~16:30 <定員:20名+見学可>
シミュレーション教材の利用によるフィジカルアセスメント:パフォーマンス評価を可能にするシナリオプログラムの制作
<オーガナイザー>
徳永 仁(九州医療科学大学薬学部薬学科臨床薬学第一講座)
<タスクフォース>
徳永 仁(九州医療科学大学薬学部薬学科臨床薬学第一講座)
要旨
「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」に対応した“臨床における実務実習に関するガイドライン”のなかで、薬物治療の実践における標準的な実習内容の例示としてシミュレーション教材が明示された。一般的なシミュレーション教育は体験が主であり、学習者の振り返りまでをサポートするものではなかった。そこで、目標設定に対する振り返りが可能な多職種連携ハイブリッドシミュレータ“SCENARIO®”(京都科学)を用いてシミュレーション教材を制作した。
シミュレーションの学修目標は「コミュニケーションができる・全身観察ができる」とし、各目標に対して“項目” (はじめに、生活状況、服薬状況、患者の体調/薬物治療の効果と副作用、脈拍、心音、呼吸状態、血圧測定、浮腫、腸音、体温、SpO2、コミュニケーション)を設定した。また、これらの“項目”は‘学習者の行動’として詳細な確認項目を約50項目設定した。さらに、シナリオは薬物服用前後の2ステップの構成とし、いずれもバイタルサインや聴診音などを設定した。その結果、メトトレキサート、ロキソプロフェン、クラリスロマイシン、ピオグリタゾン、ボグリボース、アモキシシリン、酸化マグネシウム、フロセミド、テイコプラニン、シロスタゾール服用患者の計10症例のシナリオが作成できた。本ワークショップでは“SCENARIO®”を使用して、これらの症例について処方箋を確認し、バイタルサインの確認やフィジカルアセスメントを行いながら、病態変化、薬効および副作用の確認のシミュレーションを行う予定である。
ワークショップ2 14:30~16:30 <定員:15名>
「薬剤師の臨床現場における研究活動についてのパターン・ランゲージ」を用いたワークショップ~研究への第一歩を踏み出そう~
<オーガナイザー>
渡邉 慶剛(株式会社ライフ 豊臣調剤薬局)
<タスクフォース>
高尾 郁子(京都薬科大学)
大津史子(名城大学)
要旨
薬剤師には、業務の問題点を抽出・解決する能力が期待されております。さらに、その成果を学会発表や論文作成を通じて公表し、エビデンスの創成に貢献することも重要です。しかし、研究活動を行う薬剤師は一部に留まっており、臨床現場における薬剤師間の研究活動に関する実践知の継承・共有が不十分である可能性が考えられます。実践知とは、その領域・分野における熟達者が持つ、よい結果を生み出すためのコツであり、経験の積み重ねによって形成されます。
実践知の言語化・共有の方法としてパターン・ランゲージがあります。パターン・ランゲージはその道の熟達者に繰り返し見られる「パターン」を抽出し、抽象化を経て、言語化することにより、開発されます。現在、看護教育や生涯学習の分野において開発、利用されております。
我々は薬剤師間における研究活動の実践知共有を可能にすることを目的に研究経験豊富な全国の病院・薬局薬剤師を対象に研究活動を行うためのコツについてインタビューし、「薬剤師の臨床現場における研究活動についてのパターン・ランゲージ」(薬学教育,vol.8,2024)を開発いたしました。
本ワークショップは、このパターン・ランゲージ(カード形式)を使用し、参加者とタスクフォースでグループワークを行い、研究活動に関する実践のコツを共有することを目的とします。このワークショップへの参加が研究活動のスタートラインに立つきっかけになれば幸いです。
ぜひとも、研究に興味がある、これから始めてみたいという病院・薬局薬剤師の方々の参加をお待ちしております。なお、開催に先立ち、グループ分けのためのアンケートを行う予定です。
ワークショップ3 14:30~16:30 <定員:20名>
薬学実務実習において、薬剤師としてのプロフェッショナリズム教育を実践してみよう!
~臨床現場での「医療倫理」の実践と薬学教育について考える~
<オーガナイザー>
津田真弘(京都大学大学院薬学研究科)
瓦比呂子(京都岡本記念病院薬剤部)
<タスクフォース>
今西 孝至(京都薬科大学)
角山 香織(大阪医科薬科大学薬学部)
宗 可奈子(京都大学大学院薬学研究科)
高橋 一栄(大阪府済生会野江病院薬剤科)
田村 亮(神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部)
村岡 未彩(大阪大学大学院薬学研究科)
安川 乃里子(愛知医科大学病院薬剤部)
要旨
2024年度の入学生より、薬学教育モデル・コア・カリキュラム -令和4年度改訂版- が適用され、新たなカリキュラムに基づく教育が開始された。その中で、これまで十分に触れられてこなかった「プロフェッショナリズム」が明記され、薬剤師として求められる10の基本的な資質・能力のうちの一つ目に記載されている。プロフェッショナリズムの醸成には、大学における臨床準備教育だけでなく、臨床現場で行われる薬学実務実習の場面で「薬剤師としてのプロフェッショナリズム」を学生に示すことが極めて重要であると考えられる。一方、プロフェッショナリズムをどう学生に教えるかは非常に難しい課題である。そこで、本ワークショップでは、薬学実務実習の中でプロフェッショナリズムをどう教えるか、参加者の皆さんと一緒に考えていきたい。ワークショップ前半では、参加者の考えるプロフェッショナリズムとは何かについて議論する。次に、臨床現場で遭遇する医療倫理を問われる場面を提示し、医療現場におけるプロフェッショナリズムを具現化していく。ワークショップ後半では、前半での議論の中で具現化されたプロフェッショナリズムについて、実務実習生にどう教えていくかについて議論する。本ワークショップが薬剤師としてのプロフェッショナリズムについて考える場になり、薬学生のプロフェッショナリズムを醸成するための一助になればと考えている。
8月18日(日)
ワークショップ4 9:30~11:30 <定員:20名+見学可>
医療シミュレーション教育者養成プログラム『SimBegin』の紹介
<オーガナイザー>
神田 紘介(長崎国際大学 薬学部薬学科)
<タスクフォース>
平川 善大(レールダルメディカルジャパン株式会社)
伊藤 文香(レールダルメディカルジャパン株式会社)
要旨
医療教育の現場において、シミュレーション教育を活用した基礎教育・臨床教育の実践が拡大しています。薬学教育においてもシミュレータなどの導入が進み、フィジカルアセスメントや医療技術のトレーニングを行う環境が整い始めています。一方で、シミュレーション教育を実践する教員や指導者が増えていない現状もあり、シミュレーション教育への入口となる指導者養成プログラムを求める声があります。そこで、今回は薬学や医療に関するシミュレーション教育をこれから始める教員や教育スキルを向上させたい指導者向けのシミュレーション教育入門プログラム『SimBegin®』の一部をご紹介します。本ワークショップでは、プログラム内で使用できる医療薬学に関するシナリオを使用し、プログラムの中心となるデブリーフィング(振り返り)スキルのトレーニングを指導者/学習者として、実際に楽しみながら体験していただきます。
ワークショップ5 9:30~11:30 <定員:40名>
学校薬剤師による学校環境衛生管理の実践~検知管やデジタル測定器の使用~
<オーガナイザー>
北垣 邦彦(東京薬科大学 薬学部 社会薬学研究室 教授)
<タスクフォース>
稲葉 二朗(東京薬科大学 薬学部 薬学基礎実習教育センター 教授)
安藤 堅(東京薬科大学 薬学部 薬学基礎実習教育センター 教授)
沢本大介 ㈱ガステック 営業一部 次長
宮腰義規 ㈱ガステック 営業一部 営業課 課長
加藤佑理 ㈱ガステック 営業一部 営業課 2係
田中勇気 ㈱ガステック 営業一部 営業課 2係
三枝 正吾 光明理化学工業㈱ ケミカル部 次長
小川貴人 リオンテック㈱ 営業部 課長
齊藤 敦樹 島津ダイアグノスティクス株式会社 産業試薬営業部 特販営業所
及川 正之 島津ダイアグノスティクス株式会社 学術部 学術グループ
要旨
近年、学校薬剤師は、薬物乱用防止教育をはじめとした学校における健康教育に大きな貢献をしており、注目もされている。一方、学校薬剤師の職務の中核は、学校保健安全法施行規則第24条に示される学校における環境衛生管理であり、環境衛生検査に従事することである。平成20年に学校保健法が学校保健安全法に改正された際に、学校の環境衛生に関する基準は文部科学大臣が定める「学校環境衛生基準」となった。平成21年度の施行後、環境衛生に関する法令やガイドラインの見直しを踏まえて「学校環境衛生基準」も改正されてきた。それらに伴い、検査方法の見直しを検討しなければならない学校もある。例えば、キシレンの基準値が870㎍/㎥から200㎍/㎥に見直しされたことから、検知管での測定が出来なくなったとの意見やデジタル測定器の校正はどうするのかといった意見がある。そこで、本ワークショップでは、検査機器を手にしながら学校環境衛生基準に基づいた検査について理解を深める機会としたい。
ワークショップ6 9:30~11:30 <定員:25名>
化学構造式かるたアプリ体験とそのアプリを使った学修方略の立案
<オーガナイザー>
青江 麻衣(兵庫医科大学 薬学部)
上田 昌宏(摂南大学 薬学部 )
清水 忠(兵庫医科大学 薬学部 )
<タスクフォース>
江﨑 誠治(大阪大谷大学 薬学部 )
杉本 実希子(大阪大谷大学 薬学部)
要旨
近年、一方向型の講義形式に加えて、様々な学修方略が検討されている。講義形式では、特に学習意欲の低い層が積極的に学修しているとは言い難い。そのため、あらゆる層が積極的に学修するために、動機付けの手法として知られるゲーミフィケーションを活用した化学教育に着目した。これまで、薬学生にとって基本となる50の化合物を題材としたオリジナルの化学構造式かるたを作成し、「かるた」を活用した学習方略を立案・実践、その教育効果を評価してきた。今回、「かるた」をアプリ化し、幅広く活用できるようにオンラインで学習する環境を整えた。
本ワークショップ(WS)ではゲーミフィケーションを活用した化学教育等を紹介するとともに、実際に「かるた」アプリの利用体験を行う。また、応用編として医薬品の化学構造式をテーマに、「かるた」を活用した学修方略の立案体験を行う。本WSで立案した学修方略を各大学や職場において活用する契機となればと考えている。大学教員だけでなく、薬学生、医療現場の薬剤師の皆様にもご参加頂き、化学×かるたのおもしろさや可能性を実感して頂ければ幸いである。
ワークショップ7 14:30~16:30 <定員:25名>
教育用電子薬歴を活用した薬学的管理の教育~演習の体験と教育手法の検討~
<オーガナイザー>
広瀬 雅一(福山大学 薬学部)
佐藤英治(福山大学薬学部)
<タスクフォース>
山下 広之(東邦薬品株式会社)
中川雅博(株式会社ヴェーゼン)
要旨
保険薬局における薬学的管理は、薬剤服用歴(薬歴)を活用して行われています。薬局では、一人の患者への関与が長期間にわたることや複数の薬剤師が対応することがある一方で、入手できる医療情報は限られることが多く、薬歴が患者の薬学的管理における重要な役割を担っています。
薬歴の記載と活用は、薬局薬剤師がプロフェッショナリズムを発揮する場面の一つと考えられますが、その習熟には知識に加えて実践経験等の積み重ねが求められます。本ワークショップでは、大学での臨床準備教育から実務実習、アドバンスト教育を経て、保険薬局への入職後に至るまで、薬歴を活用してシームレスに薬学的管理能力の向上を図る指導方法を考える機会を設けました。
教育用に特化した目的で開発した電子薬歴を模擬症例にて体験しながら、薬局実務教育に携わる様々な立場の方々の視点から意見交換を行っていただきます。薬学教育の改訂モデル・コアカリキュラムや令和6年度の調剤報酬改訂等も踏まえた、実効性のある提案につながる場となることを期待しています。参加に際しては、通信機能を有するPCまたはタブレット(Windows 10以降、macOS 13以降、iPadOS 16以降で、最新のChromeまたはSafariブラウザがインストールされたもの)をご持参ください。
ワークショップ8 14:30~16:30 <定員:50名+見学可>
未来洞察手法を使って薬学教育・薬剤師教育の未来シナリオを描く
<オーガナイザー>
富澤 崇(株式会社ツールポックス、北里大学)
永田 実沙(兵庫医科大学薬学部)
<タスクフォース>
新井 宏征(株式会社スタイリッシュ・アイデア)
高橋 芸臣(株式会社HRビジョン)
井原 綾子(日本調剤株式会社)
要旨
教育は未来への投資であると私たちは考えています。今起こっていることの一歩二歩先を見据えて教育プログラムを企画立案する必要がありますが、それは簡単なことではありません。特に実務を教える教員や企業内研修担当者は、「何を教えたらいいか?」「どう教えたらいいか?」に悩まれているのではないでしょうか。
このワークショップでは、経営戦略の立案などに用いられる未来洞察手法の一つである“シナリオプランニング”を活用して、10年後の医療の姿を複数描き、そこからバックキャストして今から学んでおくべきことを探索します(成果物①)。また、シナリオプランニングという手法自体を教授法としてどう活用できるかについて議論します(成果物②)。グループワークによる2つの成果物が参加者のお土産になります。調剤、医療安全、対人スキル、医療DX、キャリアなどを教える人、ファカルティ・ディベロップメント担当者、管理職研修担当者、薬剤師の未来像をのぞきたい人には最適なワークショップです。まだ薬学領域では知られていない手法を体験できる貴重な機会をお見逃しなく。
ワークショップ9 14:30~16:30 <定員:20名>
症例検討会のすすめ―EBMを取り入れた社内研修―
<オーガナイザー>
今井 真穂(薬樹薬局 ライフ溝口店)
上田 昌宏(摂南大学 薬学部 薬学教育学研究室)
<タスクフォース>
大貫 ミチ(薬樹薬局 宮前平2号店)
倉田 香織(東京薬科大学 薬学部 総合学修・教育センター)
要旨
本ワークショップでは、保険調剤薬局チェーンで実際に行っている、薬局での対人業務の推進と質向上を目指した社内研修会を取り上げます。報告のみで終わってしまう症例検討会では、若手もベテランも物足りないと感じてしまっている。明日の実務につながる症例検討会に変化させる、EBMの5 stepsを意識した「顧客課題に気づき、行動できるようになる」ための症例検討会を体験してみませんか?
薬剤師として「行動を起こす」ためには、窓口での声かけの内容を掘り下げ、多様な視点で患者さんの過去・現在・未来を想像することでの「顧客課題への気づき」が必要です。高血圧症、糖尿病、認知症、Do処方が続く人など、薬局薬剤師が出会う患者さんの多くは、承認試験のデータがすぐに役立つわけではありません。そうした患者さんが持っているさまざまな課題に、日常業務で使っている、添付文書、インタビューフォーム、診療ガイドラインといった情報を、活用するコツを学習しながら、step 4をどうやって実践していくかを考えることに焦点を当てています。
従来のEBM教育は、step 2とstep 3の習得に力点が置かれてきました。step 1やstep 4の実践には、医療者自身の臨床経験が必要です。科学的に適切な方法で、医薬品の適正使用を推進していくことが、患者の利益を守ることになる、という薬学の当たり前を、現場の薬剤師だけではなく、大学の先生にも感じていただけることと思います。当日は、他施設でも実施できるように、運営のコツ、工夫点に関するレクチャーを行います。薬局での症例検討会の輪を、実務実習や卒後教育にも拡げられるようなワークショップを予定しています。